地域限定版 regional Economic Policy 2003 6 10

 地域限定版の商品というものがあります。
たとえば、新商品をどう発売するかという問題があります。
最初から、CMをテレビに流して、全国販売する方法もありますが、
CMはしないで、コンビニエンスストアに新商品を置いてもらって、
販売する方法もあります。
 たとえば、平均年齢の若い県のコンビニに、
若者向けの新商品を置くということも考えられます。
あるいは、コンビニが、年齢別の客層を把握しているならば、
若者が多い地域が特定されるでしょうから、
その地域のみのコンビニで、若者向けの商品を販売する方法も考えられるでしょう。
 最初から全国展開をしないで、コンビニを使って、
地域限定の販売を展開した方が、リスクが少ないかもしれません。
また、運がよければ、新商品がコンビニから売れ出して、
それが全国へ波及するかもしれません。
そうすると、広告費の削減ができるかもしれません。
 インターネットショッピングが流行っていますので、
インターネット限定商品も考えられます。
在庫や流通の手間が省けますね。
この方が、どういう人が、購入するか把握できます。
顧客管理がしやすくなります。
 ところで、経済政策の地域限定版というものはあるでしょうか。
これは、日本で言えば、経済特区が、地域限定版の経済政策と言えるでしょう。
とりあえず、地域限定版の経済政策を実施してみて、
それがうまく行くならば、その経済政策を全国展開すればよいでしょう。
 そういう意味で、中国は、この経済政策を実施する上で、最適な国でしょう。
とりあえず、上海地域で、経済政策を実施して、
それがうまく行けば、全国で実施するという方法があります。
上海地域が、経済政策の実験場となるのです。
日本の経済特区に比べて、スケールの大きい話ですね。
経済政策の巨大な実験場になるので、
信頼できるデータがたくさん集まるかもしれません。
 地域限定版の経済政策は、これからの時代は必要になるかもしれません。
国土が、巨大に広い国においては、
ある地域がインフレになり、ある地域がデフレになる。
そういうことも十分にありえます。
そうすると、ある地域には、インフレ対策の経済政策を実施し、
ある地域には、デフレ対策の経済政策を実施する必要がでてきます。
 国土が広い国においては、地域別の経済政策が必要でしょう。
もしかすると、あまりに国土が広い国において、
経済格差が大きくなると、
同一の通貨を使用するのが困難になるかもしれません。
 地域通貨を作り、それを全国通貨に為替する必要があるかもしれません。
為替というと、自国の通貨と外国の通貨を交換することですが、
地域通貨を作ると、
地域通貨と全国通貨の交換が必要になります。
 これは、手間がかかりますが、
この交換業務という新しい職業が創設されます。
雇用の創出になります。失業対策によいかもしれません。
 学校の成績を向上させるには、どうするか。
国語、数学、英語、理科、社会。
全部の成績を向上させようとすると、失敗します。
まず、科目を限定して、その科目を向上させた方が、結果的に早くなります。
 たとえば、まず英語の成績を向上させる。
そうすると、自信がつきます。
小さな成功体験を味わえます。
そうすると、自信と経験により、勉強意欲が強いものなります。
そして、次に理科へと勉強を進めていけばよいのです。
 最初から、国語、数学、英語、理科、社会という、全科目にわたって、
大きな成功をねらわずに、まず小さな成功体験をすることです。
 小さな成功体験を積み重ねることにより、
大きな成功へとつながります。
 物事には、基本があります。
まず、中核の部分を作り、中核の部分から、
外へ確実に広げて行けばよいのです。
中核の部分を特定して、その部分を強くして、
それが成功したら、外周部へ広げて行けばよいのです。
 経済政策にもあてはまると思います。
地域限定版の経済政策を実施し、それがうまく行くならば、
全国へ展開していく。
 あるいは、分野を特定して、経済政策を実施する。
たとえば、今年は株式市場対策の年と決めて、
株式市場対策を重点的に実施する。そういう方法もあります。
 何でもかんでも、あちこちに経済政策を実施すると、
それは、最初から、いきなり、
国語、数学、英語、理科、社会の全科目の成績向上を目指すことと、
同じことになります。
 今年は、雇用対策の年、来年は規制緩和の年という具合に、
年ごとにテーマを絞って、経済政策を実施した方が結果的に早いです。
 何でもかんでも手を出した結果、どれこれも中途半端に終わり、
失われた10年になりました。
 10年もあったのですから、
今年は、雇用対策の年、来年は規制緩和の年という具合にやっても、
10個も、経済政策が実施できたはずです。
これは、期間限定版の経済政策でしょうか。
 最近の日本の内閣は、短命だったので、
一内閣、一経済政策でもよかったですね。
2年で内閣が変わったとしても、5個も経済政策が実施できました。